【重要文化財】安楽寺前二世幼牛恵仁和尚像

恵仁は幼牛と号し、惟仙にしたがって来朝して、安楽寺二代となった中国僧である。この像も墨書銘により、嘉暦4年(1329、鎌倉時代)に造られたことが知られる。作者名はないが、作風が似ているので、惟仙像と同じ作者と見られ、木像の頂相(ちんそう)彫刻(禅僧の肖像彫刻)としては古い例に属するものである。惟仙像に比べ、この像はやせ型のつつましくも鋭い表情に造られ、両者は同型のものながら、おのおの個性的に表現されていて巧みである。後世のこの種の頂相が徒らに技を弄しているのに比べ、やはり作例は、写実迫真の趣を失わず見事である。

一切を虚無と感じてねんごろに 虚無に行ぜし僧が像拝す  = 空穂 =